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移動支援事業(ガイドヘルパー)が普及しない根本的な理由

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「移動支援事業はされてるのですか?」

「ガイドヘルパーってやってますか?」

これは名古屋市で挨拶回りをしていたときに何度も聞いた言葉です。

移動支援事業は、「障害をお持ちの方で一人で外を出歩くのが難しい方に、ガイドヘルパーが付き添う」というサービスです。

自粛生活で外出が減るいま、障害をお持ちの方は他の人以上に様々な困難を抱えています。

しかしこの移動支援事業、聞くところによると、「なかなか受けてくれる事業所が少ない」とのことでした。

なぜこれだけ求められているのに、対応できないのでしょうか。

今回は移動支援事業がなかなか普及しない理由とその対策についてお話していきます。

答えはシンプルで、「ガイドヘルパー(スタッフ)不足」だからです。

ではなぜヘルパーが不足しているのでしょう?

様々な事業所から話を聞くうちに、実態がみえてきました。

これから詳しくお話していきます。

ガイドヘルパー不足のわけ

ガイドヘルパーが不足することによって、サービスを受けたい人が受けられないという状況が続いています。

特に平日の朝の通学、通所の送りは、家族も対応できない場合が多い上に、週に5日間必要と、非常に厳しい状況です。

なぜそもそもこれほどまでにヘルパーが不足しているのでしょうか。

これから理由をご紹介していきます。

単価が安い

移動支援の料金は、名古屋市だと30分2500円になります。

利用者負担は1割だと250円なので、利用しやすいサービスといえます。

しかし、問題はそれより長い時間の料金体系です。

30分が2500円であるのに対し、60分が3100円、90分が3300円という仕組みになっています。

これでは人件費が圧迫して、事業所が苦しんでしまいます。

事業所がやらなければ結局安くてもサービスを受けられないため、これは問題です。

参考:名古屋市の移動支援事業 | 介護・障害情報提供システム

ヘルパーが空いていない

移動支援事業をしている事業所は、高齢の方向けの訪問介護もやっていることがほとんどです。

つまり、ガイドヘルパー専門なのではなく、介護ヘルパーもやっているということです。

むしろ重点を置いているのは訪問介護の方が多いです。

移動支援で平日の送迎だと朝がはやいことが多いですが、その時間は高齢の方のデイサービスの準備があったり、その時間に働けるヘルパーがいなかったりと、なかなか難しいです。

場所や時間が働きにくい

主に朝の送迎だと30分〜1時間でサービスが終わります。

これは、他のサービスと比べて少し短いですが、問題は別のところにあります。

それは、送ったあとの場所の問題です。

例えば、事業所の近くのお家に住むご利用者さんがサービスを利用し、ガイドヘルパーとバスに乗って目的地に移動するとします。

そのとき、ご利用者さんといっしょにいる間の交通費はいただけることが多いのですが、問題は帰りです。

またバスに乗って帰らなければいけません。

となると、事業者目線で、ガイドヘルパーのシフトが組みにくくなってしまいます。

近くであれば対応しやすいですが、距離が遠くなればなるほど、交通費も時間もかかります。

特に直行直帰ではなく、朝に事務所に行く形式をとっている事業所は、ガイドヘルパーも事業所もどちらも負担になっています。

資格が必要

ガイドヘルパーは無資格でできるものではなく、研修を受ける必要があります。

介護初任者研修や実務者研修を受けていればガイドヘルパー自体はできるのですが、

そのような人材はすでに訪問介護で手いっぱいのことも多く、ボランティア意識のある一般の方も研修でハードルが高くなっている一面があります。

もちろん資格によってサービスの質が上がるのは喜ばしいことですが、ガイドヘルパーの不足を解消するには、受講者が増えるような工夫をこらす必要があります。

障害に対するハードル、偏見、怖さ、無知識

ヘルパー目線で、長年介護をやってきた人ほど、新しく障害をお持ちの方にサービスを提供するとなると、未経験からのスタートになるため、尻込んでしまうケースがあります。

しかし、これから障害をお持ちの方も高齢化が進み、増えていくことが予想されますし、介護と障害の境目はあいまいになっている部分もあります。

ハードルは高くても、学んでいく姿勢がヘルパーに求められます。

事業所はそれに応え、学んで実践できる体制を整える必要があります。

解決策はある?

これまでご紹介してきたような理由から、ガイドヘルパーの不足があり、なかなか移動支援のサービスは普及していません。

では、私たちはどうやってこの問題に対処していけばいいのでしょうか。

「ヘルパーにとって魅力的になるにはどうすればいいか」「何か有効な手立てはないか」

ラーゴムは、ある考えに至りました。

それが、「学生に有償ボランティアとしてやってもらう」というアイデアです。

学生による有償ボランティアという新しい形

これには大きく2つのポイントがあって、

学生である」ことと、「有償ボランティアである」ということです。

学生であることのメリットは、比較的空いている朝に短時間働けるという点です。

自宅の近くでガイドヘルパーをすれば移動時間はあまりかかりませんし、生活リズムも整います。

有償ボランティアというのもポイントです。

無償ボランティアだと「モチベーションの維持や継続的な支援が難しい」、「教育にかける時間を長くとれない」などのデメリットがあります。

有償ボランティアであればきちんと対価を受け取ることができる上に、社会貢献ができます。

ラーゴムが考えるのは、地域に根ざした、10年〜20年と続くビジネスモデルです。

ガイドヘルパーが増えれば増えるほど、サービスの質も上がりますし、ノウハウが蓄積されていきます。

そうすればご家族さんなどの特定の誰かが我慢して苦労することがありません。

ご利用者さんもあんしんしてサービスを受けることができます。

ガイドヘルパーも自信と誇りを持って働けますし、事業所は続けることができます。

ラーゴムは、継続的なサービスを提供できる仕組みをつくっていきます。

このような取り組みに賛同していただけたらシェア、拡散していただけたら幸いです。

また、ガイドヘルパーに興味のある方は採用情報もご覧ください。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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